蛹/あさき

2005年9月17日
[秘密 其ノ一]

それらは概ね ほねつきあたまのあの子の帰りを待つ わたくしともが
デタラメに吹く口笛を薄くのばして作った風車でありますゆえ
まあ「虚飾は何とか」とでも申しますか
くるくるくるくるくるくるくるくるくるくる
廻る風車
あーっ!また帰って来た!!
『おかえりなさい』

[秘密 其ノ二]

尾のない赤い目をした子犬が彼に問う
(そうそう これも『お月様が照らしてくれた秘密』なのですが)
「それは羽かしらん?」と
ほうき星に導かれてここまで来たんだと
くぅるり まわる 風車は折れた

[アノ子何処ノ子]

人肌恋しい 恐れのお山で僕は産声をあげました
カタカタ 風と風車 調律はお好みで
母様は音の無い人で 泣けども 泣けども
爪かじり 飛びまわっていた
『帰依』だとおっしゃっていた

「残月にお祈り」
「寄らば大樹の陰だね!」

「そう(笑)誰よりもずっと 優しくされたいのでしょう?」

ラ〜ララ〜と貴方は言う 舌を回しながら
千の目が怖くて
泣きながら月にお祈りした

 〜青より白濁 白より蒼い天上の月光を以て初めて
   鮮明に浮かび上がる千の羽を頭に縫い付けた結果〜

   地よりも低いそらへと昇り のぼり ま す!ませんか!ましょう!

『君が』

「綺麗ナ!」と 母は見てくれた
ひらひら ひらひら 千枚羽
相も変わらず唄を歌う でも音がないね 母様
震える銀の波
祈り・願いの代償=ズルリと頭から伸びていく
母は笑っていた
『月へと伸びていく母を追いかけて泣き叫ぶ僕のうしろで
はねは静かに ただ静かに ゆれていた』

ああ 風車はからんからんと音をたてて流れていく
流れていく
微笑みだけを残して

赤い空の窓に消えていく母を叫ぶ
唄を歌った 咽がかれるほど

   幼き歌声をのせた 月の雫は
   降り注ぐ光のおびに溶けて星になる

   つよく ねえ そう 高く背伸びしたよ お月さま
   空へと落ちていく




         『あっあっ!また帰って来たー!!』




 もし きみきみ はねははえました?

コメント

稔

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